日本橋でジャズの始まりを贅沢に味わう

2020224日(月)、バング&オルフセン日本橋にてジャズシンガーのakiko氏とジャズピアニストの小林創氏を迎えて『90rooms #4 ジャズの始まりと歴史。〜名盤と生演奏で知って愉しむ〜』  と題したトーク&リスニング・イベントが開催された。この日は1910年代〜1930年代くらいに生まれた所謂「古いジャズ」をジャズシンガーとジャズピアニストの視点で生演奏を交えながら語るという、贅沢な企画。
小林氏の大量の資料を参考に打ち合わせ、そして事前にサウンドチェックも入念に行う。
この日は音源の試聴は「Beolab 90」から、そして生演奏は「Beolab18」を使用して豪華なセッティングに。

30
年代のモノラル音源を最新のデジタルツールを使用してコントロール。

Sold Out」となった会場はワインが振舞われ、良い雰囲気の中スタート。

この日は小林が事前に「マーチング」「ラグタイム」「ニューオリンズ・ジャズ」「ブルース(ブギウギ)」「ストライド」「スウィング・ジャズ」という6つのパートに分けて、それぞれの成り立ちや背景と共に名盤の音源、そして生演奏を語り聴いていく構成。

まずは荘厳な「Lead me Saviour 」というマーチング・ブラスバンドの音源からスタート。
この曲は葬送曲として演奏された賛美歌が由来という話から南北戦争まで遡り、ジャズの始まりと発展は「アメリカの歴史や文化」と共に歩んできたことがわかった。

また、小林はピアニストならではの意見として当時の演奏技術の高さが、現在のあまり演奏されなくなった要員でもあると語った。
当時はマイクやPAシステムは無く、また演奏場所も煩い酒場という事で自ずと技術の高いハードな演奏スタイルが必要となったという事。
そして、それらは技術の進歩と共に新しいスタイルが生まれ、消えていったという。

共演回数が一番多い小林とakikoの軽妙なトークの中、さらりと生演奏が始まる。すると、そこは一瞬にしてジャズクラブでライブを観ている様な空気に。

最後は、ナット・キング・コールの名曲「I Love You for Sentimental Reasons」 の二人による生演奏で優雅に幕を閉じた。
会場では熱心にメモを取る来場者も見受けられ、普段なかなか聴かないスタイルのジャズだが、背景や歴史を知り改めて聴くとなんとも味わい深く「愉しみ方」がわかったように思う。
また、30年代のモノラル音源を「Beolab 90」で聴いていると名画を観ているような感覚になり、「古いモノが落としてきた大事な何かがある」と語った小林の言葉がとても印象的だった。

この日は、途中休憩も入れて2時間ほどだったが、「ジャズの歴史」からしたら約100年のうちのわずか20年ほどで、全然語り足りないとのこと。

是非、次回もお楽しみに。


【試聴した主な楽曲たち】

マーチング 
Lead Me Saviour / The Young Tuxedo Brass Band,    Just A Closer Walk With Thee / The Young Tuxedo Brass Band

ラグタイム 
Maple leaf rag    

ニューオリンズ  
The Perls / Ferdinand Morton,  Gettysburg March / George Lewis

ブルース(ブギウギ) 
Boogie Woogie Stomp / Albert Ammons  

ストライド  
Carolina Shout,   Reminiscing The Piano Greats / Willie "The Lion" Smith

スウィング・ジャズ  
Don't Blame Me / Teddy Wilson,   Tea For Two / Art Tatum


今回のプレイリスト